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【オッカムの剃刀と美しい式】

2015年05月21日

 読者は「オッカムの剃刀(かみそり)」という言葉を耳にされたことがあるのではないだろうか.「どういう剃刀か」と聞かれるとちょっと困るが,物の名前ではなく行為を指す言葉である. 

 ウィリアム・オッカム(William of Ockham :?~1349)はイギリスのスコラ哲学者で,サリー領のオッカムという所で生まれた.彼の哲学は唯名論あるいは名辞論として知られているが,結果的に中世のスコラ哲学を破壊し,近世的な科学を生み出す近世哲学の先駆を成した.

 オッカムの主張の中で有名なのが「オッカムの剃刀」と呼ばれる言辞だ.

 それは,

 ・「むやみに実体の数を増やしてはならない」

 ・「全く同じ予言を行う2つの理論(考え)があったら単純な理論の方が,より良い理論である」

という考え方である.

 このうち特に我々技術者は後者には注目したい.科学者や技術者はよく数式を使うが,私は「オッカムの剃刀」 を念頭に置くと,次の式は単純でありながら壮大な意味内容を含むのに,いつも惚れぼれする.

 (1) ピタゴラスの定理                             a2 +b2 =c2

 (2) ニュートンの万有引力の法則                    F=Gmm‘ /r2

 (3) アインシュタインの質量のエネルギー変換式 (c は光速) E=mc2

 ピタゴラスの定理を我々は「直角三角形の斜辺に立てた正方形の面積(c)は,直角を挟む2辺(a,b)に立てた正方形の和(a2+b2)に等しい」と習ったが,各辺に立てるのは正方形とは限らず,同一のどういう多角形でもよいし,円でもよいという.ピタゴラスの定理の証明法はこれまでに400ほど発見されており,レオナルド・ダ・ヴィンチやアインシュタインも試みたらしい.

 ニュートン力学は我々の日常生活のほとんどの場面に適用できる.ただそれが不足する(適用できない)のは,高速に近い速度で動く物体(宇宙間を走る光など)と,量子力学分野つまり微細な素粒子の動きの部分だけである.とはいえ,この広大な宇宙空間の力学関係がすべてF=Gmm‘/r2 という単純な式で表現できるというのは,驚異である.

 だが,アインシュタインがニュートン力学の不足部分に目をつけ,力学(特殊相対性理論と一般相対性理論)だけでなく,すべての物質のエネルギー変換が,E=mc2のl行で表されるとしたのはもっと驚異的だ.広島・長崎の原爆のエネルギーも,基本的にはたったこのl 行の式で表されるその驚異には,美しさとともにスゴ味さえ感じられるのではあるまいか?

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