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【私のネックレス構想】

2015年06月09日

 人は生涯に幾つの“ネックレス”を作ることができるか?

滋賀県に“ネックレス構想”とか“ネックレス・ライン構想”とか言うのがありました。ここに記す「私のネックレス構想」の名称(・・)は、そこから拝借したとも言えますし、そうでないとも言えます。その数年前から昔の同僚が私のやり方やものの見方・考え方を「今村さんの“串刺し理論”・・・」と言って、若い人にしばしば宣伝してくれたので、そのままに“串刺し構想”でもよいのですが、も少し色気のある晴れやかな名称にならないものかとの思いから、“ネックレス構想”という語を使いました。その根底には、滋賀県でつけた名称の印象が残っていたのかもしれません。が、内容は全く別です。

 また、ここに記すことは技術者としての私の人生哲学であって、読者に同じ考えでやれと勧めるわけではありません。技術者像形成についての一つの考えを示したものにすぎないことを、まずお断りをしておきたいと思います。

 

1.まず―近い目標・遠い目標―を持とう

 私たちは、自分や妻子を養うために日常の仕事をしています。しかしそれが仕事の目的のすべてではありません。「人はパンのみにて生くるにあらず」というキリストの言のとおり、私たちは食っていければそれでいいというわけではないし、また、食うためにだけ仕事をしているわけでもありません。社会の役に立ち、しかも自分の人生の夢を実現すること―それも仕事をするうえでの大きな目標のはずです。

 はじめから明確な目標をもって生きている人は当然として、そうでない人も、日常的に数々の仕事をして年を経るにつれて、自分のやりたいことが次第に鮮明になってくるもの。自分の進みたい、あるいは進むべき道みたいなものが、だんだん見えてくる。やりたいテーマが見えてくるということです。そういうテーマの見えない人は、まず自分なりの道(テーマ)を見出すことが大切であろうと思います。焦る必要はない、常にそういう目を持って、自分の近い目標・遠い目標を探し求めることです。目標やテーマは仕事を進めていくうちに必然的に出てくる場合もあるでしょうし、多分に偶然的な要素もあるかも知れませんが、いずれにしろ自分のテーマを「探す目」を持つことは必要です。

2.日常業務の中にこそ“玉”がある

 私たちが従事する日常の業務には、自分のやりたいこと、やりたくないこと、余り興味のわかないことなど、雑多なものが混じっています(図-1)。若いうちには多くのことを幅広くやって、できるだけ多くの経験をして、自分の仕事の幅を広げることが大切だと思いますが、経験を経るにつれ自分のやりたいテーマがだんだん明確になってきたら、それに関係した仕事には積極的に“手をあげて”取り組むのがいいでしょう。ただ、いつもやりたいことだけをやれるとは限りませんので、日常の一つひとつの業務を、自分の体得した視点、あるいは自分の考え(仮説)に基づいて丁寧によく見ていくことが大切です。そうすることにより、日常業務の中に新たな面白味が発見できるとともに、何の変哲もない日常業務の中に“玉”が含まれていることがわかってくるでしょう(図-1)。

図-1 一つの業務の中に含まれる知見(いろいろの知見が含まれる)

 たとえば、私は砂防や道路防災、あるいは道路や送電線路のルート選定などの日常業務を遂行するさい、常に「土地の安全性(逆に言うと危険性)という点に着目して、現地を見、データを集積してきました。当然興味があったからですが、つづけていくうちに一つひとつの業務の中に、たいてい一つないし複数の「見方・考え方」の新しい発見、つまり “玉”があると思うようになりました。あるプロジェクト(たとえば都市防災の仕事など)は、まさにそういうものを中核としたものです。

 

3.それぞれの“玉”を”いと”でつなぎ合わせて”ネックレス”を作る

 こうして集積された数々の知見―自分の目で見、体験して自分のものとなった知見―を、それまでに自分の中で培われて来た考えに従って、一つひとつ丹念につなぎ合わせていきます。それはちょうど真珠の玉を絹糸で一つずつつなぎ止めて行くのに似ています。そうやって作ったものの一つに、1985年に出した『安全な土地の選び方』[1]という小著があります。できた本自体も “ネックレス”にたとえることができますが、真髄は、「土地の安全性の見方・考え方」についてのひとつの“ネックレス”(体系)ができたということです。本自体は、その見方・考え方を表現した一手段にすぎません。

 つまり、日常のいわば“飯の種”として消化していく一つひとつの業務の中に、自分なりにひとつ二つ三つ・・・・・と“玉”(知見)を見出していき、それをそれまでに培ってきた自分の思想(というと大袈裟ですが、要するにものの見方・考え方です)という

[1] これは、2013年に『安全な土地』と改題して、新しく書きなおしています(東京書籍より出版)。

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